AI for Science
本研究室は、コンピュータアーキテクチャおよび高性能計算(High-Performance Computing)の中核技術を基盤とし、 人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ解析などの先端技術を融合させながら、 産業と社会の発展、そして文化遺産の継承に貢献することを目的としています。
近年では、AIと様々な応用分野を組み合わせた学際的研究を積極的に推進しています。 たとえば、古文書の修復、異常検知、4Dプリンティング、時系列予測、 エッジコンピューティングによるスマート農業、生体工学との融合など、多様な分野で実践的な研究を展開しています。 ハードウェアとソフトウェアの両面からアプローチし、システム設計から実装・応用まで一貫して取り組んでいます。
AI × エッジコンピューティング・モデル最適化
深層学習モデルは高精度な反面、膨大な計算量とメモリを必要とし、エッジデバイスへの実装が困難です。 本研究ではプルーニング・量子化・知識蒸留といった圧縮技術や、 Vision Transformer のトークン削減、FPGA / RISC-V 向けの ハードウェア協調設計を通じて、限られた計算資源でも高速・低電力に動作するAIを実現します。
AI × 物体検出・産業ビジョン
製造現場の品質管理や自動化には、高速かつ高精度な視覚認識が欠かせません。 本研究ではYOLO系の軽量物体検出を産業画像に特化して改良し、 プリント基板の欠陥検出や果物の品質格付け、食器回収ロボットへ応用しています。 さらに教師なし異常検知(PatchCore、メモリバンク、セグメント融合)により、 未知の欠陥も検出可能な実用的システムを構築しています。
AI × 文化遺産・古文書
膨大な量が未整理のまま残る日本の古典籍・古文書、そして約3000年前の甲骨文字。 本研究では深層学習を活用し、くずし字・甲骨文字の自動認識、 拡散モデル(DDRM)による劣化文書の修復、 マルチモーダルな文脈理解を実現しています。文化遺産のデジタル継承を、 AI技術で加速させることを目指しています。
AI × バイオインフォマティクス解析
人工知能技術と従来のバイオインフォマティクス手法を組み合わせ、単一細胞マルチオミクスデータの体系的解析に取り組んでいます。 scRNA-seq に基づく細胞タイプ自動認識モデルや、 scRNA-seq / scATAC-seq のマルチオミクス統合フレームワーク、 単一細胞データと空間トランスクリプトームを統合する深層学習モデルの開発などを通じて、 複雑な生物過程の多層的解析と精密医療の発展に貢献する計算基盤を築いています。
AI × IoT・ロボティクス
計算資源が極めて限られたエッジデバイス上で、リアルタイムAI推論を実現します。 重量29gのナノUAVへの完全オンボード物体追跡、RGB-D視覚と ロボットアームによる小番茄自動採摘、デジタルツインによる バイオガスプラント監視など、AIとIoT・ロボティクスを融合した実世界応用を展開。 低消費電力で動作する軽量モデルと、現場で使えるシステム統合を追求しています。
AI × 量子
量子ビットの重ね合わせや量子もつれを活用することで、複雑かつ高次元なデータに対して 高い並列処理能力を発揮できます。本研究では量子進化アルゴリズムにより、 乳がん・パーキンソン病・心疾患などの医療データセットを対象に、深層学習モデルの 特徴量選択とネットワーク構造パラメータを統合的に最適化。 量子コンピュータ上での実機検証も行い、冗長な特徴量の大幅な削減と診断精度の向上を実現しています。